不動産売却の基礎講座 ⑨媒介の種類

おはようございます。
いろは不動産の能野です。

不動産売却の基礎講座 ⑨媒介の種類

解決!媒介契約の種類と選び方

不動産の売却を不動産会社に依頼する場合、
媒介(ばいかい)契約を締結する必要があることをご存知でしょうか?
媒介契約とは不動産を売却するためのパートナー契約のようなものです。

媒介契約には、

①「一般媒介契約」
②「専任媒介契約」
③「専属専任媒介契約」

の3種類があり、それぞれに特徴があります。

今回は各媒介契約を解説をし、
実際に媒介契約を選ぶ際の
ポイントなどを紹介していきます。


媒介契約は、所有する物件の売却活動
を行う上で重要な役割を果たします。

不動産の売却を行うのであれば、
なるべく高く、そしてスピーディー
に取引をしたいですよね。

媒介契約の特徴や違いをきちんと理解し、
後悔のない不動産売却を行いましょう。


媒介契約とは?

不動産を売却する場合、個人では自分で
買い手を探すことが難しく、不動産会社に
仲介を依頼することが一般的な方法です。

仲介を受けた不動産会社は、売買や仲介など
の取引を扱う法律である宅地建物取引業法に
よって、依頼者にとって不利にならない
売買契約の締結が法律で義務付けられています。

そこで、所有している物件をどのような条件
で売却活動を行い、成約した際の報酬金額を
どのようにするのかといった内容を定めた
媒介契約書を取り交わします。

これを「媒介契約」といいます。


この媒介契約を締結することによって、
依頼者と不動産会社間のパートナー関係を
明確化させ、仲介業務に関するトラブルを
未然に防ぎます。

契約書の内容は、国土交通省の定めている
「宅地建物取引業法施行規則の規定による
標準媒介契約約款」を参考にしてください。


ここで気になるのが、どれが最適なの?という疑問です。

3種類ある媒介契約をチェックしてみましょう!
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媒介契約は、下記3種類に分けられます。

①一般媒介契約

②専任媒介契約

③専属専任媒介契約


上記媒介契約の違いは、次の5点が挙げられます。

1.2社以上の不動産会社と契約できるか

2.自分で買主を探して直接取引できるか

3.不動産会社から受ける活動報告の頻度

4.不動産会社のレインズ登録義務

5.契約期間


それぞれの媒介契約の違いを下記の表にまとめています。

この表からわかる通り、

一般媒介契約

→専任媒介契約

→専属専任媒介契約

の順に、お互いの制限が厳しくなっています。


それでは、それぞれの違いに注意しつつ、
一つずつ解説していきましょう。

なお、以降の媒介契約の説明は、国土交通省の
「宅地建物取引業法施行規則の規定による
標準媒介契約約款」を前提としています。

この標準媒介契約約款に基づかない
媒介契約も考えられるため、以下の解説
と一致しない場合もあります。


専任媒介契約とは?

専属専任媒介契約は、1社のみに依頼
できる契約で、他の不動産会社と併せて
媒介を依頼することはできません。

また、親族や知人などと直接交渉をするなど、
買主を自分で見つけてきた場合も不動産会社を媒介として
取引を行うことが契約で義務付けられています。

有効期間は3カ月を超えることができません。
また、不動産流通機構には、媒介契約を締結
した翌日から5日以内に登録しなければならず、
依頼を受けた不動産会社は依頼主に対して7日
に1回以上の割合で販売状況の報告義務が課せ
られています。

報告の方法は、電話やメール、書面なんでも構いません。
報告の具体的な内容は、物件のお客様からの問い合わせ
件数やWEB上の閲覧数、見学した方の状況などです。


CHECK①|指定流通機構への登録義務とは?

専属専任媒介契約を締結した際、
不動産会社は締結日の翌日から5営業日以内に
登録をしなければならない義務があります。


指定流通機構とは、レインズ
(Real Estate Information Network System=REINS)
と呼ばれ、宅地建物取引業法に基づいて国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことです。

専属専任媒介契約と専任媒介契約を締結した場合、
依頼した不動産会社の売却活動に全てを委ねることになります。
しかし、担当者が一人で購入希望者を探し出すことは難しいため、
指定流通機構は、オンラインの物件情報システムを利用してより
広く購入希望者を探すよう義務付けているのです。


指定流通機構(レインズ)のサイト上では、
所在、規模、形質、売買すべき価格などの物件に対する情報が掲載され、
一般公開はされていません。指定流通機構による情報交換を通じて、
最適な買主を見つけ、毎年10万件以上の売買が成立しています。


CHECK②|専属専任媒介契約のメリット・デメリット

専属専任媒介契約は、3種類の中で最も制限が厳しく定められており、
必ず不動産会社を通じて売買契約が行われるため、
不動産会社にとって仲介手数料の確保ができます。
そのため不動産会社の積極的な売却活動が期待できるともいえます。


また、毎週販売状況の報告がされるため、
売り手も現状を把握しやすいというメリットもあります。

その反面、万が一不動産の対応に不満があったとしても
契約期間中である3カ月間は不動産会社1社のみに限定を
持ち合わせています。いわゆる「囲い込み」です。


「囲い込み」とは、
不動産会社が買い手と売り手の両方から仲介手数料をもらうために、
売却を任された物件の情報を公開しなかったり、
他社からの物件照会に応じなかったりすることです。
売買契約が成立すると、不動産の買い手と売り手は、
してもらった不動産会社に仲介手数料を支払います。

不動産会社からすれば最も利益が出るのは、売り手と買い手の

両方から仲介手数料を得られた「両手取引」が行われたときです。

この両手取引によって2倍の仲介手数料を得るために、囲い込みを行い、

自社の顧客から購入希望者が出るまでの時間を稼ぐのです。

以前から囲い込みは問題視されています。

しかし、現状では第三者が実際に立証することは難しく、
原因となる両手取引の禁止ができず防御もしにくいのです。
「囲い込み」をされているのでは?と不安になったときは、
レインズで登録内容や取引状況を確認するといいでしょう。


専任媒介契約とは?

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同じく、
1社のみに依頼できる契約です。他の不動産会社と併せて仲介を依頼することができません。
また、有効期限も専属専任媒介契約と同じく3カ月です。


異なるのは、自分で購入希望者を見つけた場合は売買契約を結ぶことができる点、
指定産流通機構(レインズ)への登録義務が媒介契約を締結した翌日から7日以内になる点、
依頼者への販売状況の報告義務が14日に1回以上になるという3つの点です。


CHECK③|専任媒介契約のメリット・デメリット

専任媒介契約のメリットは、専属専任媒介契約に同じく1社にのみ依頼をすることで、
不動産会社の売却活動の活発化が期待できる点です。
販売状況の報告が受けられることもメリットの一つです。
また、前述のように自分で購入希望者を見つけて売買契約が締結できることもメリットの一つですね。


その代わりに、指定流通機構(レインズ)への登録義務が少し遅い点、
販売状況の報告義務期間が少なくなる点は、しっかり覚えておくべきでしょう。

専属媒介契約と専属専任媒介契約は、どちらも同じような契約内容だと思えますが、
専属専任媒介契約の方が、制限は厳しくなっています。
具体的には、専属専任媒介契約は、購入希望者を自分で見つけることができないのに対して、
不動産会社は指定産流通機構(レインズ)へ登録するまでの期間が短く、
販売報告の頻度も増えます。
もし自分で購入希望者を探して売買契約を結ぶことがないのであれば、
専任媒介契約よりも専属専任媒介契約を締結したいところです。
ところが、専任媒介契約を選び、指定流通機構(レインズ)へ登録するまで
の期間が僅かとはいえ長くなるということは、
不動産会社が物件を独占できる期間もその分だけ長くなります。

さらに、定期業務報告の間隔が広がるため、
営業にかかる手間暇が軽減されるのです。


一般媒介とは?

一般媒介契約は、専属専任媒介契約・専任媒介契約とは異なり、
複数の不動産会社に仲介を依頼することができる契約です。

また、依頼者が自分で購入希望者を見つけた場合も売買をする
ことが可能なので、制限が少なく、比較的自由に売却活動ができる
種類の媒介契約です。

指定流通機構(レインズ)への登録義務も任意で行え、販売状況の報告もありません。

一般媒介契約では、当事者同士で自由に決めることができますが、
国土交通省の定める標準媒介契約約款では3カ月以内が一般的とされています。
標準媒介契約約款に基づく契約であれば、3カ月以内の期間になるでしょう。


CHECK④|一般媒介契約のメリット・デメリット

一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約を結ぶことができる点が、
最大のメリットと言えるでしょう。

1社しか契約のできない専属専任媒介契約・専任媒介契約とは異なり、
他社よりも先に成約させなければ仲介手数料が発生しないため、
不動産会社が競争し、早くに売却が実現する可能性があります。

ただし、人気エリアにある、相場よりも値段が安いなど、
競争してまで売りたいと思わせるような条件のある物件ではない限り、
経費と時間を掛けて積極的に売却活動をしてくれることはないでしょう。
この他社に成約が決まってしまう可能性があるというのは、
あまり需要のない物件にとってはデメリットになってしまいます。


まとめ|状況に応じて納得のいく媒介契約を結ぼう!

媒介契約はどの契約を選んでも、メリット・デメリットがありますが、
最終的には不動産会社と依頼者との個々の信頼関係が最も重要になります。

媒介契約の種類のみで、すぐに購入希望者が見つかるということはありませんので、
複数の不動産会社に頼みたいのか、販売活動の報告を受けたいのか、
自分で購入希望者を見つけて交渉する手立てはあるのかなどの
自分の意向を明確にしたうえで、不動産会社に相談をして納得
のいく媒介契約を結ぶようにしましょう。


「不動産を売る予定がないけれど、どのくらいの値段になるのか気になる」
という方には、不動産売却の際に情報を入力するだけの簡易査定をお勧めいたします。

また、売却査定のときに担当者に相談をし、
一番納得のいく媒介契約を勧めてくれた会社と契約するといいかもしれません。
自分の所有する物件の売却活動を進めていくにあたって、
どの媒介契約がふさわしいのかきちんと知りたい場合は、
不動産会社の担当者への相談をお勧めします。